からだの自己決定権とは?
What's Body Autonomy?
からだの自己決定権、Bodily Autonomy(ボディリー・オートノミー)やBody Integrity(ボディ・インテグリティ)という言葉を、耳にしたことはありますか?
からだの自己決定権とは、人が外部からの影響や強制を受けることなく、自分の身体に起こることを管理・決定する権利のことをいいます。
からだの自己決定権は、基本的人権です。
浅井春夫先生は、『人間と性の絵本2 からだってステキ!』(浅井春夫・文、柿崎えま・絵、大月書店)のなかで、「からだの権利(body rights)」について、次のように紹介されています。
- からだのそれぞれの器官・パーツの名前や機能について、十分に学ぶことができます。
- だれもが、自分のからだのどこを、どのようにふれるかを決めることができます。
- からだは自分だけのものであり、だれかが勝手にさわることはゆるされません。
- からだが清潔にたもたれて、けがや病気になったときには治療を受けることができます。
- こころとからだに不安や心配があるときには、相談できるところがあり、サポートを受けることができます。
- 5までのことが実現できていないときは、「やってください!」と主張することができます。
からだの自己決定権に関する社会的課題
性暴力や身体的暴力、処女テストやFGM(女性器切除)など、からだの自己決定権が侵害されているケースはたくさんあります。
いつ・誰と一緒に子どもを授かるのか、子どもを産む選択をしないのか、ということを自分で決めることは、すべての人が有するからだの自己決定権。
だからこそ、妊娠の強要、人工妊娠中絶へのアクセスを制限することや、避妊ピルや緊急避妊薬が手に入りにくい状況にすることも、からだの自己決定権の侵害にあたるといえます。
さらに、人が自分の身体について決定・管理するためには、自分の身体に対する正しい知識を持つことは不可欠です。
だからこそ、適切な性教育が与えられないことも、からだの自己決定権の侵害にあたるといえます。
からだの自己決定権を伝えていこう!!
子どもたちに、からだの自己決定権、つまり、“自分の身体は100%自分のものであり、自分が不快だと感じることにはNOと言う権利がある”と教えることは、性被害を減らすことや、性的虐待被害の発覚に貢献するとして、欧米を中心に子どもとの対話に取り入れている親が増えているそうです。
改訂版国際セクシャリティ教育ガイダンス(ユネスコ編)においても、4.2同意、プライバシー、からだの保全(Consent, Privacy and Bodily Integrity)の項目で、5歳から8歳までの学習目標として、以下の項目をあげています。
- 「からだの権利(body rights)」の意味について説明する(知識)
- からだのどこがプライベートな部分かを明らかにする(知識)
- 誰もが「からだの権利」をもつことを認識する(態度)
- 自分が不快だと感じる触られ方をした場合にどのようにはんのうすればよいか(「いやだ」「あってにいけ」という、信頼できるおとなに話す)をはっきりと示す(スキル)
- 自分が触られて不快だと感じた場合に、親や保護者、信頼できるおとなにどのように伝えるのかを明らかにし説明する(スキル)
これらのセクシャリティ教育は、ユネスコの学習目標が示す5歳から始めなくてはいけないのではなく、それより前の乳幼児期から、その子に応じてはじめていくのが望ましいといわれてきています。
ぜひ、ご家庭でも、日々の生活の中でセクシャリティ教育を取り入れてみてください。
改訂版国際セクシャリティ教育ガイダンス(ユネスコ編)は、日本語以外にも英語、ポルトガル語などさまざまな言語で読むことができます。
この機会に、読んでみてください。
性的暴行を受けたサバイバーを支援している非営利団体Resilienceは、児童に対する性的虐待を防ぐための取り組みのひとつとしてからだの自己決定権を子どもたちに教えることを挙げており、からだの自己決定権を子どもたちに教える企画を実施しています。
のホームページは、こちら。
動画もぜひご覧ください。